摂食障害(拒食症・過食症)ってなに?原因・症状・治療法・克服法を実体験から解説



みなさんは「摂食障害」という言葉を聞いたことがありますか。失恋をして食欲がない、ストレスでやけ食いするなど、食欲が一時的に減少したり増加することは誰にでもあります。それに対して「摂食障害」は一時的ではなく長期間にわたり食事を摂取することに問題が起こり、それによって大きな健康被害をもたらします。

モデルさんやタレントさんなどを見て憧れる、痩せ思考が強い日本人の若い女性はダイエットをきっかけに摂食障害になる可能性も高いです。この記事では摂食障害とはどんなモノなのか、約7年間摂食障害に悩まされていた私が実体験をもとに説明していきます。

摂食障害とは命に関わる精神疾患であり難病

食事を摂取できなくなってしまう「拒食症」、食べることをコントロールできず過剰に食事を摂取してしまう「過食症」。体調が悪い訳でもないのに食べることができない、またお腹が空いているわけではないのに食べることに制限が効かなくなってしまうなどの病気ををまとめて摂食障害といいます。

摂食障害(Eating disorder/略:ED)は、文字通り食べることの障害を意味します。厚生労働省で難治性疾患(治すことが難しい病)に指定されており、精神疾患でイメージしやすい「うつ病(難治性うつ病)」と同じ、まぎれもなく精神疾患のひとつなのです。

ダイエットなどによる極端な食事制限が原因で食べることができなくなったり、対人関係のストレスやダイエットの反動で過剰に食べてしまい心と体の健康に様々な被害が起こります。長い期間続くと逆流性食道炎や不整脈になること可能性がある他、さらに重症化すると命にも関わる病気です。

 

摂食障害は過度なダイエットから起こりやすい

摂食障害(特に拒食症)は、発症した瞬間があまり明確ではなく、当事者も自分が摂食障害であるという事実に気づきにくいです。なぜなら、世の中の多くの痩せたい女性は食事制限を行いますし、拒食症ではなくもともと食が細い人もいます。

そういった理由で、昔から当事者を知っている人でなければ摂食障害と気づくのは難しいのです。さらにダイエットを頑張って痩せた体を手に入れた人にとっては「痩せすぎの心配」など、最も聞きたくないアドバイスなのです。そんな摂食障害でも「サイン」はあります。私が摂食障害だった時のものに、心理状態(なぜその行動をとるか)を加えて説明しています。

 

摂食障害になりやすい性格・年齢

摂食障害になりやすい性格

完璧主義・頑張り屋さん・自己評価が低い

摂食障害になりやすい人は、まじめで自己評価が低い頑張り屋さんです。完璧主義で理想が高いため、100gでも体重が増えると自分はだめな人間だと感じてしまいます。食べないことが辛くても結果が「体重の減少」でしっかり数字に現れるので達成感を感じやすく、どんどん頑張って痩せてしまうのです。

また自分に自信がないため、せめて痩せていないと自分は生きる価値がないとまで考えてしまう人もいます。太っている自分は愛されない、痩せて認められたいなどの理由で始めた無理なダイエットが、偏った過度なダイエットに繋がり摂食障害になってしまうのです。

 

摂食障害になりやすい年齢

摂食障害を発症しやすい年齢は14歳から25歳頃の、見た目や容姿を気にしやすい時期と言われており、年々若年化しています。特に思春期である中学生と高校生の時期は、体重が大きく増えたり、異性を気にし始める年齢なのでダイエットなどを理由に発症しやすいです。

また、「痩せたい」と思ってしまう理由の1つは、テレビや雑誌などのメディアなどによる「痩せ」の洗脳によるものも大きいでしょう。モデルさんやタレントさんの中には、プロフィールの体重などを多めにサバ読んでいる人がいますが、中学生や高校生からすると、憧れの人に少しでも近ずくために、無理なダイエットをしてしまうのです。

 

摂食障害の種類

拒食症の症状

拒食症(神経性やせ症)は、食事を取ることができなくなってしまう病気です。もともとは食欲がないから食べられない場合に当てはまる神経性無食欲症・拒食症と呼ばれていました。しかしながら、ダイエットなどの「痩せたい願望」から食事をとることを拒否している人も多いため神経性やせ症と呼ばれるようになりました。

多くの場合は過度なダイエットが発端で起こり、当事者はすでに十分過ぎるほど痩せていても痩せ方が異常だと感じません。「健康的な体型」と考えている人や「もっと痩せたい」とさらに痩せようとしてしまう人もいます。体重が短期的に極端に減るとうつ症状が出たり、食べ物に対するこだわりが異常に強くなります。また数字に達成感を感じやすいため、体重がどんどん減っていくことで満足感は得やすいですが、どんどんと栄養失調になってしまうのです。

拒食症は栄養不足になればなるほど治療が難しく長期化し、極度の体重の減少で入院が必要になるケースもあります。また、拒食症が過食症につながり、そこから過食嘔吐に発展するケースも多く、ただのダイエットのつもりが大きな精神疾患を引き起こしてしまう可能性が大きいのです。

 

過食症の症状

過食症(神経性過食症)は、食欲のコントロールが自分でできなくなり過食を繰り返してしまう病気です。過度なダイエットから拒食症になり、その「食べてはいけない」の制御が、何かのきっかけでなくなり、拒食症だった時の「食べたかった」反動から過食症になるケースもあります。また、対人関係によるストレスが長期間続くことが原因で、やけ食いがに日常化してしまうケースもあります。

過食症を「むちゃ食い」という言い方をする場合もありますが、それは食べ物を一気に詰め込むようにして食べるからです。イライラして起こる「やけ食い」との区別が難しいため、自分では病気だと考えず、また周囲からも気付きにくいです。しかしながら、過食症やむちゃ食いの場合は自分の意思で食を止めることができません。何かに取り憑かれたように口に詰め込んで食べてしまい「コントロールできない」という感覚に近いです。

 

過食嘔吐の症状

過食症から過食嘔吐になってしまう人は多くいますが、その理由は食べてしまった罪悪感や、体重が増えることへの恐怖から故意に吐いてしまおうと思ってしまうからです。また、下剤を大量に使うことで体重が増えるのを防ごうとする人もいます。拒食症で食事制限をしていた人が、その反動で食べてしまった時に発症するケースや、やけ食いから1度吐くことをしてしまったのが発端になることもあります。

体重を増やさないように嘔吐や下剤を飲む場合が多く、周囲が症状に気づくことは難しく、本人も病気だと思っていないので重大な病気になるかもしれないと考えにくいです。しかしながら、過食嘔吐の期間が長く続くほど、心身ともに合併症を引き起こしやすく治療が難しくなります。

 

摂食障害になる原因

拒食症の原因

ダイエットや雑誌やSNSの情報

1番多い理由がダイエットです。特に中学生や高校生の思春期は体の変化による体重の増加。それにプラスして、自分で「太った」と強く感じるか、周囲からふっくらしてきた体型を指摘されたことが原因で痩せなけばならないと強く感じてしまいます。さらに雑誌やSNSからも「痩せ」が美しいような印象を持ち、ダイエットをし始めいつの間にか拒食症になっていくケースが多いです。

 

過食症の原因

対人関係などのストレス

対人関係がうまくいかない、仕事がうまくいかないなどが理由で「やけ食い」が習慣になることで起こります。また、最初は拒食症だったが、少し食べるようになったら、そこから食べるのがやめられなくなり過食症になったケースもあります。食べたことを後悔して、過食時間以外は何も食べないが、たま一気に食べるという風に、過食と拒食を繰り返す人もいます。

 

過食嘔吐の原因

親・友達・思いつき・やけ食い・ダイエット後

親や友達が何気ない一言で「吐いてしまえばいいよ」とアドバイスされ、「そっか!吐けばいいんだ!」と単純に納得してしまうことで発症してしまう人もいます。そして本人からすると「嘔吐」は、今まで食べたかった食べ物を好きなだけ食べてもリセットされる「発明」のようなものです。また単純に、「やけ食いが習慣になり嘔吐した」「ダイエット中に食べてしまって嘔吐した」という人もいます。

 

心も体もボロボロになる摂食障害の合併症

摂食障害による心と体の経過

  • 心理面:他の精神疾患を併発する

毎日体重計に乗らないと気が済まなかったり、体重が少しでも増えていると「生きている価値がない」というほどに自尊心が低くなる人もいます。また完璧主義なので、体重が増えた自分を否定する傾向があります。当事者や周囲が気づかなかったり、治療を受けない状態で重度の摂食障害が続くと、統合失調症やうつ病などの違う精神疾患を併発する危険性に繋がります。

  • 身体面:通常の生活を送るのが困難になる

拒食や嘔吐が原因で栄養失調になり、爪や髪の毛がボロボロになり免疫力が落ち風邪をひきやすくなります。さらに悪化すると歩行が困難になったり、嘔吐が原因で歯がボロボロになったり心身ともに危険な状態になります。また、体重増加や疲労感から学校や職場に行けなくなったり、過食代に多額のお金がかかったりするなど生活面にも影響が出ることも少なくありません。

 

摂食障害が引き起こす二次障害

  • 逆流性食道炎

日常的に嘔吐を繰り返していると、胃の食べ物が容易に食道から逆流し、胸やけがさらに進行すると食道の粘膜がただれて、逆流性食道炎になります。嘔吐は胃にある強い酸を食道に流し込み、逆流性食道炎を促進させる行為です。その状態を放置すると潰瘍になったり、食道がんを発症させるリスクを高めます。

  • 虫歯

酸蝕症(さんしょくしょう)といって、歯の組織(エナメル質)が侵蝕されることで虫歯になりやすい状態になります。嘔吐したものは胃の中で強い胃酸と混ざり、口の中にある状態でもその強い胃酸を含んでいるので、胃酸が原因で酸蝕症が進み歯がボロボロになります。

  • 不正脈

嘔吐する時に体から出て行ってしまうものは食べたものだけではなく、胃液や腸液と一緒にカリウムが大量に失われてしまいます。体内でナトリウムのバランスを保つカリウムが急激に減ってしまうと、低カリウム血症になり不整脈などを起こしやすくなります。

  • むくみ

嘔吐を続けると耳の下あたりにある「唾液腺」がとても腫れてきます。唾液腺の腫れによって痩せたいはずなのに、顔だけパンパンにむくんでしまうのです。体は細いのに顔がやけに太って見える人や、耳の下から顎にかけてのラインが異常に腫れてしまうために顔の輪郭が歪むこともあります。

  • 生理不順

拒食症などで急に栄養が偏ったり不足すると、生理が遅れたり来なくなります。その期間が長く続くと自力で生理を来させることができなくなり、注射でのホルモン摂取やピルを飲まないと整理を起こせない体になってしまいます。思春期のころは、生理は毎月やってくる厄介な存在にも感じてしまうので、生理が来ないことが逆に好都合に思ってしまう人もいますが、そのまま放置すると子宮が発達せず妊娠しずらい体になってしまうことがあります。

 

摂食障害を治療・克服する方法:偏った考え方を直す

摂食障害は決して向精神薬のような薬物療法だけでは完治しません。私自身もそうでしたが、摂食障害を完治させることは非常に難しく、再発してしまうこともよくあります。特に症状が出ていた期間が長いと、その分完治にも時間がかかります。「食べることに対する恐怖」「食事や栄養への偏った考え方」「過度な痩せ願望」など、さまざまなな方面での改善が必要です。正しい知識を知ることは治療のスタートとなり、できるだけ早期に始めることで大きな改善が見込めます。

  • 拒食症の食事改善

食べる量が極端に少ない拒食症の人は適切な食事量を摂取することで適切な体重に戻ります。ますは1日の目標摂取カロリーを決め、徐々に必要な量をしっかり食べられるようになることが大切です。最初は炭水化物や脂質の多い食材を食べることに抵抗がある人が多いですが、少しずつ食べられる食材の種類や量を増やすことで普通のカロリーを摂取できるようになります。

  • 過食症の食事改善

たくさんの量を一気に食べてしまう過食症の人は、いきなり過食をやめるのは難しいので食事の規則性を決めることで食事のタイミングを自分で決める感覚を取り戻すようにします。具体的には、お腹が空くまで食事を取らないようにしたり、朝昼晩の食事の時間を決めるなどです。1日3回適度な食事量を食べられることを目標にパターン化していきましょう。

  • 過食(嘔吐・下剤)の食事改善

食べたものを体内に吸収されないように嘔吐や下剤を使ってしまう人は、まず改善のために嘔吐や下剤の回数を徐々に減らして行くこととを目標にします。特に嘔吐という行為は自己肯定感がとても下がることでうつ症状を強くし、全身をむしばむので徐々に減らしていきましょう。過食してしまっても「嘔吐しなかった」「下剤を使わなかった」こともとても大きな改善です。そして、症状が出てしまった時は自分を責めず「摂食障害の症状だから仕方ない」と、自分を責めないことも大切です。

 

【過食・過食嘔吐の人へアドバイス】

最初は食べ物をできるだけ家に買い置きしないようにするといいです。過食の症状を止めるのは本人の意思と関係なく起こるので、「過食をやめたい」という患者さんでも自分の意思で止めるのは難しいですが、家になければ買いに行く必要があるので衝動を抑えられることがあります。

シリアルやお菓子などはたくさん食べてしまいたい衝動にかられやすいので、間食として食べたい時はお徳用の大きいパックのものは買わず、食べ聞きサイズの少量のパックを買うようにしましょう。

 

自分の容姿や体重の認識の改善

摂食障害になりやすい人は、根本的に「自己評価が低い」「自己肯定感が低い」ことが多いです。また、太っていなくても太っていると感じたり、「あの頃はもっと痩せていたのに…」「太っている自分が嫌い」という、自分の体型に対する強いコンプレックスがあります。このコンプレックスの解消は、摂食障害を改善させるためにとても重要なことです。

解消方法は自己受容(そのままの自分を受け入れること)です。自己肯定感(無理に自分の価値が高いと信じ込もうとする)を高くする必要はありません。ためしに、紙に「今日できたこと」「良かったこと」などを記入してみてください。ありのままの自分を受け入れることは、とても治療にプラスに働きます。また人によっては、理解ある家族・友達・恋人がいて症状が改善されることもあります。

 

身体面の改善

  • 月経

3ヶ月以上月経が止まっていたら、産婦人科に診断に行くことをおすすめします。思春期に生理が来ていない期間が長いと、子宮の発達が遅れて出産できない体になってしまう可能性があるからです。多くの場合の治療方法は、低量ピルの処方や注射などで生理を起こします。3ヶ月から半年続けてピルを飲むのをやめ、生理が自発するか確認します。

  • 虫歯

過食嘔吐の方は、胃酸により酸蝕症がとても進みやすいです。嘔吐してしまったら口の中をよくゆくぎ、吐いて1時間ほどはジュースや酸性の食べ物を口にしないようにしましょう。また歯磨きをしたい場合も、吐いた直後だと歯がすり減り、さらに酸蝕症が進んでしまうので、1時間ほど置いてからフッ素を含む歯磨き粉を使うと効果的です。

 

周囲の人ができるサポート

アドバイスのつもりであっても言葉かけは慎重に行ってください。拒食症の人にとって「痩せすぎだからもっと太った方がいい」はただのストレスです。また過食や過食嘔吐についても、「そんなことをするなんて食べ物に失礼だ」というような言葉がけも、それは本人が1番強く感じていることで当事者のうつ症状を助長させてしまいます。

私は後輩から摂食障害で悩んでいること打ち明けられた時は、必ず「辛かったら無理に食べなくていいよ。でも体調が心配だから栄養はとってね」と言うようにしています。また、拒食・過食・嘔吐の症状についても「摂食障害の症状だからね」と、当事者のせいではなく病気の症状であることを自覚できるような言葉かけを心がけています。

摂食障害は、対人関係・家庭・学校・職場・コンプレックスなど、様々な要因が絡み合っていることも多いため、病気についての理解や、患者さんに対して周囲からのサポートがとても大切です。

 

まとめ

小学生でも体型が気になってダイエットを始めたり、痩せ願望が強い親の影響などで摂食障害に悩む方若い人はどんどん増えているように感じます。ダイエットを一生懸命に頑張るあまり、自分では気付かずになっている可能性のある摂食障害です。この記事を読んで「私って摂食障害かも?」と意識できる人が増えてたり、病気を知るきっかけになれば幸いです。

また、この記事を最後まで読んでくださった方は、自分、家族、友達、恋人が「摂食障害で悩んでいる」のかもしれません。私もとても悩んでいました。こんな症状の人が近くにいるのであれば、ぜひあたたかい言葉で支えてあげてください。また自分が悩んでいるのであれば、ぜひそのままの自分を受容してみてください。そのままのあなたはとてもステキです。あなたにしかない良さがあります。